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吾輩は斑猫である
3 (8/11)




 ――好敵手――そんなものは、生きる上で何の意味もないものである。あるべきものは餌となる獲物と、避けるべき天敵だけだ。その他は何の関係もない外の世界の住人である。
 吾輩はその無意味なものに、寿命を縮めるばかりで食料としては心許ない本末転倒な存在に、一種の生きがいとも言うべきものを見出していた。吾輩、生まれて初めて「生きる」ということを本心から意識していた。何だか今まで食らってきた蟻どもに対して、涙の感謝を捧げたいほどである。吾輩をこの穴の中に産み落としてくれた両親に対してもだ。今まで持っていた感謝などとは格が違う。今までのは上っ面だけの、物質的な悦びだとか、報酬だとかに過ぎない。思えば、感謝ですらなかったのかも知れぬ。不遜極まりない、全く愚かな小蟲であった。
 小さく、そして誰よりも強い蟻が、吾輩に真理を与えたもうた。今ならば吾輩、世界を逸脱して全てを知ることさえ可能であると思われた。
 腹の前にじっと潜む神の子。彼に対して吾輩は吾輩の体を流れる血に誓い、全ての先祖から引き継がれてきた誇りを全うせねばならぬ。
 時を動かそう。
 吾輩はぐいと開かれた大顎を蟻に対して打ち下ろした。振り上げて勢いをつける必要は無かった。そんなことをせずとも、吾輩は常にいつもの三倍近くの力を発揮できる。諸君らには信じられぬことかもしれないが、それは可能である。人間の中にも達人と称される一部の強者どもはこれが出来るはずだ。攻撃力というものは単純な速度や遠心力、慣性と体重によってのみ決定されるものではない。
 吾輩の大顎は動き出すのと同時に最高速に達し、蟻の頭めがけて突き進んだ。敵もさるもの、突然の攻撃に動じることなく、風のようにするりと背中の方へと回ってしまった。しかし、これは吾輩の予期したところである。相手をただの蟻であるなどとはもう思わない。自分の腹めがけて頭を突っ込む力を利用して体をぐるりと回転させた。こうして穴の奥に向かうのは久方ぶりのことであった。それと同時に、背中を壁へと打ちつけたのである。が、蟻はこれを容易に避ける。
 今、吾輩は巣穴の外に尻を向けている状態だ。もしも相手がただ運の良いだけの蟻ならば、この隙をついてすぐに逃げ出していただろうが、彼はそんな事はしない。彼は吾輩の罠に迷い込んだだけの餌ではなく、吾輩を殺す者である。離脱による終戦などありえない。
 背中から逃れた蟻はまたしても吾輩の腹に回ったわけだが、今度は先ほどよりも深く入り込んでいる。しかも、吾輩は穴の底を向いているので相手の攻撃に対処しにくい。蟻はこの好機を逃さず、今度こそ攻撃を仕掛けてくるはずだ。
 ここに来て初めて、吾輩は戦いに脚を攻撃に使う。通常の狩りにおいては不要であるどころか邪魔にすらなりかねない六本の脚。普段は巣の中に隠れる形になっているので、それは当たり前のことだ。しかし今は違う。この狭い巣穴に鈍重な大顎は似つかわしくなく――そう、三倍の速度であっても、鈍重なのだ。この蟻の前では――、脚の方がはるかに自由である。
 体勢を調節するためだけに使われてきた六本の脚は今まで寝ぼけていたわけではない。この地中に於いて吾輩の体を四六時中支え続けてきたのである。普段は日の目を見ないこの脚が、ひとたび攻撃に転じればどれ程の力を発揮するのか、持ち主である吾輩ですら予測が出来ない。
 蟻は蟻で、吾輩の大顎や背中の鎧には注意を払っているが、脚には無頓着なはずだ。実際、吾輩の攻撃を三度避けた彼には吾輩の脚を一方的に傷つけるチャンスがあったというのに、彼はそれをことごとく無視したのだ。彼の考えとしては、吾輩の脚を一本や二本奪ったところで、機動力は変わらぬというものであろう。それは事実、そうである。三本まで奪われると少々困ってしまうが、二本までなら許容範囲だ。それに、一度の攻撃で傷つけることは出来ても、奪うとなれば同じ場所を何度か噛み付かねばならない。吾輩がそうそう何度も何度も同じ隙を見せることはないと、蟻の方でも分かっている。或いはまた、そんなことをせずとも吾輩に致命傷を与える自信があるのかもしれない。最初に吾輩の腹に回った時に攻撃をしなかったのは、一撃で殺すだけの深い攻撃が出来ぬからあえて見送ったのであって、来たる攻撃に対する防衛策ではなかったのかも知れぬ。
 いずれにせよ、今回こそは蟻が攻撃しない理由はなかった。彼はこの六本の脚が攻撃に使われるなどとは予想していないし、そして大顎は穴の底を向いている。
 気取られてはならぬ。吾輩は体勢を立て直そうともがきながら、腹の上の蟻に集中した。案の定、蟻は吾輩の体をよじ登った。吾輩頭を下に向けているので、よじ登るというのもおかしいが、とにかく蟻は吾輩の胸の辺りにまで差し掛かった。緊張が背筋を走る。
   かんれん!

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