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吾輩は斑猫である
3 (7/11)




 殆ど無に帰していた全身の感覚を研ぎ澄ませた。普段の狩りでも吾輩は自らの持てる力の全て、或いはそれ以上――前述の通り、殺す喜びに対する拒絶が莫大な力を生み出しているのである――を投入していたが、今はそれより更に上の力と速度、そして集中力を発揮できる。何だか一つ進化して、別の生物にでもなったような感覚さえあった。吾輩の遠い祖先たちはこういう経験を繰り返すことによって、現在の斑猫を形作ってきたのだろうか。
 見つけた。
 蟻は吾輩の背中にいた。通常、鎧に包まれた背中は強堅であるが故に、一切の感覚が及ばぬ領域でもある。痛みも、温度も、完全に遮断される。そうでなければ鎧としての意味がない。しかし今なら、普段の触角にも勝る鋭さで、背上の現象を理解できる。満ち足りた感覚だ。
 吾輩は渾身の力で以ってその背中を巣穴の壁へと打ちつけた。蟻の体が無残にも潰され、体液が飛び散るのを予期したのだが、そうはいかなかった。吾輩が脚に力を込め、背中と壁とが接するその僅かな時間と空間の隙間を縫って、蟻は身をかわしたのである。
 思い起こして欲しい。通常、蟻は諸君らとは比べ物にならぬ時の流れの中で生きている。そして吾輩はそれすらも及びのつかない時の流れを生きているのだ。にも拘らず、今回の蟻は吾輩の罠を、そして大顎をすり抜けただけに留まらず、いつも以上の素早さで動ける吾輩の攻撃を、難なくかわしたのである。わけが分らぬ。
 相手もまた、吾輩と同じように「普通」を凌駕した力を発揮しているのであろうか。それにしたって、こうも立て続けにしてやられるなどという事は信じられない。またしても、吾輩の脳裏に夢幻の類、そして恐怖が蘇りそうになる。一体これは何なのだ。わけが分らぬ。わけが分らぬ。わけが分らぬという感想しか出てこない。わけが分らぬ。
 蟻は吾輩の腹に回り込んでいた。わけの分らぬ恐怖ではなく、もっと現実的な、確固たる恐怖がそこにはある。吾輩、背中は鎧で守られているのだが、腹はむき出しである。そして蟻というものは吾輩のそれとは比較できぬが、ともかく強靭な大顎を持っているのだ。吾輩の最大の急所近くに、相手の最大の武器が構えられているのだ。
 やられる、と思った。
 もはやこの蟻が吾輩よりも素早いということは認めざるをえなかった。そんな強敵が今、絶好のチャンスを得ているのだ。この一撃は避けられまい。無論、無抵抗にやらせておくなどという馬鹿なことはない。少しでもダメージを軽減し、その上で反撃を試みなければならない。
 攻撃は最大の防御など言うが、それは吾輩のように一撃必殺を信条とする場合の話であって、持久戦においての大きな一撃というものは同時に体力の消費であり、隙を生み出すものでもある。幸い、この蟻がどれ程の力を持っていようとも、その大きさでは吾輩を一撃で無力化することなど叶わない。つまり、この蟻の攻撃は防御としては機能しないものであるり、そこには吾輩の付け入る隙がある。まだ吾輩の方に分がある筈だ。
 やあ、何だかもう、純粋な実力は完全に負けているかのような言いっぷりだね。思い出すと悲しくなるよ。食料相手にこんな、ね。
 ともかく、吾輩は体を曲げて相手の攻撃に備えた。噛み付かれるのと同時に、上方から致命傷を与えてやろうと考えたのだ。だが、蟻は絶好の機会を得ながら、吾輩の腹に食いつくことはなかった。これでは隙など生まれようもない。そして、今吾輩の方から攻撃を仕掛ければ、またしてもするりと避けられるであろう事は疑う余地もない。
 何故だ。
 この蟻は戦闘慣れしておらず、それ故に攻撃するということを思いつかなかったのか。それとも、半端な攻撃が死を招くということを知った上で、あえて待ちに徹したのか。
 恐らく後者である。戦闘を知らぬ者に良いようにされているなどとは考えたくなかったし、それよりも吾輩はこの蟻に対して、畏敬の念さえ持ち始めていたのだ。吾輩は狩りを、つまり殺しを楽しいとは感じないか、少なくとも感じようとはしなかったし、ましてや戦闘狂などではないが、今、生まれて初めて出会った強敵の存在に、嬉々としたものが沸々と浮かび上がってきていた。好ましくさえ思っていたかも知れぬ。

   かんれん!

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