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>>選択式御題



3.「人間の骨と同じいろ」

 私はなんと無駄な人生を送ってきたのであろうか。祥子は縁側に立ち、この御時世から鑑みると謙遜の言葉を並べ立てるのは殆ど皮肉であろうと思われる、広い庭を眺めた。雀の可愛らしい声が聞こえ、さんさんと降りしきる日光は祥子の皮膚の中で少なからず重要な栄養素を作り出している。心地よいある7月の午後は、有閑の憂いを持って眼前に広がっていた。
 息子夫婦がこの家にやってきたのは1年ほど前だった。
 祥子はこの息子を心から愛していたし、そして息子は世間でマザコンと呼ばれるものに違いがなかった。しかしあろうことか、息子は大学へ行くために親元を離れたのだ。あの日、駅で息子を見送った祥子は人目も憚らず泣いたし──あくまでも息子には笑顔を見せていたが──、息子も同じ気持ちだったことは疑うべくもない。
 その息子が若い女を連れて帰ってきたとき、祥子は否定しがたいショックを確かに受けていたのだ。息子は母ではなく、その女に母性を求めた。そしてまた、その女はそれをよく理解していた。
 女は祥子から息子を奪い、息子は母を裏切ったのだ。ふと目が合った時の女の冷たい視線には、祥子に対する否定しがたい侮蔑がこめられてさえいた。
 息子は女に対して情けない甘えた声を出し、他面祥子に対する興味は殆ど完全に失われたように思われた。それならば何故、この家に戻ってきたのであろうか。それこそは女の入れ知恵に他ならず、操り人形となってしまった哀れな息子は、速やかに遺産を相続するために利用されているのだ。さかしくもあり、実に馬鹿げた事ではある。
 女はこの家のことを進んでやり、それは殆ど完璧にやり遂げたと言って良かった。しかし、細々としたあらゆる点で祥子とは差異が認められた。掃除する部屋の順番、箒と掃除機、或いは雑巾の使い分けのタイミング、包丁のリズムから洗濯物の干し方に至るまで、祥子とは違っていた。しかし結果は同じことだった。なるほど息子がこの女を選ぶのも合点がいくというものだ。むしろここは息子の快挙に喜ぶべきであり、この女を気持ちよく迎え入れるのが母の務めであったし、実際その準備は出来ていた。少なくともその気持ちであった。
 しかし女がこの家に来てから3ヵ月後、彼女は行方をくらませた。
 息子はむせび泣き、所在無くうろうろと歩き回り、やがて座り込んだかと思うとぱたりと寝込み、もはや祥子の姿など目に入らなかった。祥子はまるで盲目の老人のように化した息子を、付きっきりで看病した。彼がまだ小さかったころ好んだ、古い子守歌を口ずさみ、彼が好んだ薄味の粥をほおばらせ、彼が好んだ絶妙な耳掃除さえをも施した。
 そんな息子が先日、嫁のあとを追うようにして行方をくらませた。
 祥子はさめざめと泣いた。
 警察は全く動かず、もっぱら私立探偵が二人の行方を捜し続けていたが、その探偵とも最近は連絡がつかない。他に大きな仕事が入ったからなのか、こちらの出す報酬に不満があったのか、解決の糸口がつかめずに絶望し、放棄してしまったのか、或いは二人を見つけたにも拘らずなぜか口を封じられたのか、とにかく彼もまた行方をくらませたと言って差支えがなかった。
 祥子はほとほと呆れ果て、学生時代のことなど思い出していた。昔から誰にでも頼られ、あらゆる物事に対して先頭に立って対処したものだ。万事が彼女の思い通りに運んだし、誰も障壁になることなど適わなかった。立ちふさがろうとする者が居なかったわけではないが、誰もがじきに彼女の道を明け渡したものだ。そしてそれは今も変わらないでいるべきなのだ。
 明日、祥子が一人きりになってしまったことを心配して、離婚した元夫が顔を出すらしい。祥子は元夫に慰謝料など請求しなかったし、離婚に対しても結婚に対しても、後悔など微塵もなかった。為すべき事を為したに過ぎないのだ。元夫にも色々と思うところがあるだろうが、無論そのようなことは如何という事はなかった。やはり重要と思われたのは、どうせこの元夫も来週中には行方不明になって祥子を孤独にするのであろうという先見だけであった。
 これから先も、このような茶番は続くのだろうか。全く無駄としか言いようの無い人生だ。絶望にも似た哀れな虚しさに満たされた祥子を、庭先の季節外れな梅の花だけが慰めているではないか!

   かんれん!

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