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>>選択式御題 49日目
13.「この手に託された」


 「待って」という私の声は他の何かに――たとえば道端でよく判らない遊戯に没頭しているやつれた若者に対する、中年の怒号といったもの――かき消されることは無く、そればかりかむしろ厳粛な公民館での歌声のように、滞りなく増幅されて、信じられない速度ではるか先へと突き進んでいく。当然なのだ。冗談などではなく、私は恐怖にも似た感情からその言葉を発しているのだから。渾身の力で。
 が、届かない。
 私はあわてた。血流が加速され、足はもつれ、無様に倒れた。
 「待って」
 哀れみを請う余裕すらない、懇願。今の私なら、この願いが叶えられるならば何でもやり遂げてしまえそうに思われる。つまりどんな反社会的なことでさえも。しかしそれには条件がある。人が何かを願うのは、想像の範囲内でなければならないのだが、私にとってそれは、彼の後姿なのだ。鳥を知らぬ者が翼を欲しがるだろうか。隣人を知らぬものが富を思うだろうか。知覚なくして夢はなし。人は無からの想像を望むことができない。いわば目先の利益以上は求めようがないのだ。彼の後姿がなければ、私はどんなこともやり遂げられないし、望むこともできないのである。
 ところで今、その彼の後姿が私の視界から完全に遠のいた。これでは望めないではないか。いけない。私は何かを叫ぼうとした。しかし声は出ない。何を叫べと言うのだ? わからない。
 知っている言葉を。
 口にした事のある言葉を。それもつい先刻。
 叫べない。忘れてしまったのか。口が阿呆みた様に開かれたまま、瞬きも忘れてしまった。渇きとは何だったか。何をしている。何もしていない。そう、転んだのだ。そうしてもう、私は二度と立てはしまい。そんな確信を得てみたが、それだけだ。何も生まれては来なかった。何をしていたのだろう?
 手が差し伸べられた。キラキラと輝いて見える。聞いたことがあるな、と思った。
 救いの手だ。
 他人を地獄に引きずり込む決意なくして、他人を求むることなかれ。
 他人に地獄に引きずり込まれる覚悟なくして、他人を救うことなかれ。
 その手はあの公民館よりもよほど厳粛で、清らかな奇跡のようだ。私はその手を握れるのか。握っても良いものか。もう立ち上がることのできない私に、想像の可能性を示唆するそれを。
 私の逡巡と狼狽とをあざ笑うかのように、その手は私を引き上げてしまった。いともたやすく。軽々と。風船か何かを引っ張るように。ほとんど自分で浮き上がってしまったのかと錯覚させるように。
 何かが頭をよぎった。フロリダ? 違う。バミューダ? 違う、何を言っている? スミソニ……関係ない! ただ判るのは、それが救いでないことだけだ。馬鹿馬鹿しいことを言えば、掬いではあるかも知れん。せいぜい慰み者としての地位を与えられたに過ぎない、転落だ。黙ってうずくまっておくべきだったのではないか。あの手を振り払って。しかしもう遅い。だめだ。見世物としての天命を果たす他にない。よりによって、人々はそういう存在を拍手で迎える。
>>選択式御題 48日目
45.「視界に咲き誇る紫陽花の 花」






 水とは吾にとって必要不可欠なものである。いわば母乳のようなものである。アッ、単純に過ぎる比喩を申し訳ない。
 はて、ほんの数日、長唄なぞに興じておるうちに吾はたちまち飢え、乾くのだ。アッ、当然に過ぎる回想を申し訳ない。
 無論、雨は恵みのように思われる。のだが、これは間違いである。長雨は雪崩のごとき毒なのだ。アッ、行き過ぎた表現を申し訳ない。
 吾は容易く腐敗する。ところが、である。この腐敗に至るまでの僅かな時間、霧中の大地の僅か一片、そこに美しき羽衣は先鋭なる品格を持って生まれいずると云う。アッ、手前味噌で申し訳ない。
 しかしながら、それは誰の記憶にも留まることなく、アッという間もなく消えてうせる。馬鹿げた渇望である。同時に求愛である。否否、生き様である。


>>選択式御題 47日目
22.「どうしようにも救われないこの運命をそれでも恨みもしなければ呪いもしなかったそんなおまえが 誇りでした」






「では、塩と胡椒のシンプルな味付けで、そうだな、ウェルダンに焼き上げ――ただし80度を越えることは許さん――、ああ、大サービスだ。ナイフとフォークもつけてやれ。何ならおろしポン酢などつけて通ぶらせるのも構わん。くだらぬ盛り付けは不要である」
「はい、終了しました」
「それで?」
「とても美味であると言っております」

「火など使うことはない。勿体無い。生のままで出せ、何、死にはせん。いや、死んだとしても、どうという事は無い」
「はい、終了しました」
「それで?」
「まことに美味であると仰っております」

「口をこじ開けて固定しろ。そのままペースト状にした物体をぶち込め流し込め」
「はい、終了しました」
「それで?」
「恐ろしく美味であるとのたまっております」

「喉を切り裂いてぶち込め流し込め」
「はい、終了しました」
「それで?」
「尋常ならぬ美味であるとさえずっております」

「もうよい、何もするな。ただ、腐敗してゆく姿を見せてやれ」
「はい、終了しました」
「それで?」
「ことのほか美味であると吐露しております」

「見せる必要もない。どこぞの海の底に沈んで朽ちるという現象だけを伝えてやればよい」
「はい、終了しました」
「それで?」
「はなはだ美味であると述懐しております」

「言葉などかけるな。一切の情報を断て」
「はい、終了しました」
「それで?」
「たいそう美味であると吠えております」

「頭蓋を砕いて安置しろ。粛々とだ」
「はい、終了しました」
「それで?」
「大変に美味であると抜かしております」

「私の目を潰してみろ。躊躇は無しだ、一気にいけ。痛いのは嫌いなのだ」
「はい、終了しました」
「それで?」
「大いに美味であると口走っております」

「お前、自分の耳を引きちぎることは出来るか? いや、できるはずだ。やってみろ」
「はい、終了しました」
「それで?」
「この上なく美味であると開陳しております」

「私の心臓を止めてみせよ」
「はい、終了しました」
「それで?」
「すこぶる美味であると訴えております」

「お前の口を縫え。ついでに私の耳もそげ」
「はい、終了しました」
「それで?」
「きわめて美味であると供述しております」

「わかったわかった。私の負けである」
「はい、終了しました」
「それで?」
「ハラショーに美味であると豪語しております」




>>選択式御題 46日目
13.「この手に託された」





「ありがとう」
 そう言って彼は手を差し出した。私は半ば反射的にその手を握った。彼の向こうの窓から強い西日が射し、目の奥に青い光が明滅する。不快な輝きだ。それは安っぽく言えば、命のエネルギーだ。どんな発電法で得た光よりも、安くて脆い光だ。気分が悪くなり、彼が嗚咽を漏らした。
「ちょっ、何て事をするんだろう! 痛むんだ。離したまえ」
 黙れ、と思った。世界中に喧伝して回りたかった。この男は私に向かって、あろう事か「離せ」などとほざいたのである。ありうべからざる事だ。
 瞼の裏の青い光が一つ脈打ち、うねり、巨大化し、ザワザワと分岐しては圧縮し、やがて一人の女の顔を形作った。名前は知らない。いや、一度は耳にしたはずだが忘れてしまった。
 友人の結婚式で初めて出会い、一度も会話を交わすことなく、帰りの駅で別れた女だ。
 彼女が私の友人とどういう関係かも知らない。声も忘れた――これも最初から知らなかったように思うが、分からない――。
 友人の結婚式は楽しかった。珍しいことである。私は浮かれた席が苦手なのだ。しかし私は翌日、早朝から予定があったために、二次会は遠慮して帰ることになったのだ。もしも付いて行ったりしたら、私を知る者たちは仰天していただろう。そういう姿を見るという楽しみがなくもないが、予定は外せない。
 そして、友人の関係者の一人と、駅のホームに立ったのである。
 そして、彼女は落ちたのである。
 その前に何かを落としていたような気もするが、衝動的に落とされたような気もする。私が押したのかも知れぬ。ともかく、彼女は落ちたのだ。
 私は半ば反射的に彼女の手を握った。そして渾身の力で以ってそれを引き上げたのだが、彼女は驚くほど軽く、私は勢いよく尻餅をつき、一息つき、肘より向こうが電車の銀色に彩られた彼女に微笑んだ。
 その後。20分間。
 私は彼女の手を握り続けた。
 何人かが二人を引き離そうとしたのだが、難しかったようである。何せ私は、一世一代の全力を維持していたのだ。
 静止した電車の青い光を見出したとたん、安堵したように力が抜けた。
 お分かりいただけたであろうか。誰も私の握手から逃れることは出来ない。私が許すまで。
 彼の左拳が西日に紛れて目前へとせまってきているが、知ったことではない。



人は死ぬぞ



>>選択式御題 45日目
37.「傷つくこと傷つけたこと」



 県庁の前で呆然とたたずむ一人の男。服装は軍服。詳しいことなど知らずとも、それが旧日本軍のものらしいことは見当が付く。
 幽霊である。
 警備でもしているつもりなのか。しかし、それにしては覇気がない。「呆然」なのだ。そんな事はどうでもよろしい。私はこの年老いた若い幽霊――見た目は若いのだが、実年齢で言えば私の3倍どころの話ではなかろう――のことなど興味がない。私の親戚や知人の中に、戦争を語るものは居らず、つまり私にとって戦争とは、いわば空想のものである。何のリアリティも無いゆえに、興味の持ちようも無いのだ。飢えた子供が欲するのは一切れのパンと、色の薄い水であり、貴族の社交界などハナクソのようなものだ。それと同じである。何故戦地ではなく、こんな所に軍服で突っ立っているのかも知りたいとは思わない。
 むろん、向こうから興味をもたれても困る。いつからそこに居るのか知らないが、幽霊から見れば現代はあまりにもわけが分からぬものであり、興味は尽きないと思われる。私のような、敵国の文化に染まりきったとしか思えない女が腰を振りながら歩いていては、刺激が強かろう。それとも、ずっと前から、つまり最初から、もっとざっくばらんに言えば、死んだその日からそこに立ち続けているので、もはや時代の流れなどハナクソのようなものと感じているのだろうか。そちらの方がありがたいのだが。
 ともかく、私は目をあわさぬように、そこには何も無いがごとくに振舞って、県庁内部へと侵入を試みたのである。が、幽霊はまるで最初から私に狙いを付けていたかのように、二本の足でもって近づいてきた。何ということだ。とり殺される。
 私は思わず幽霊の腰周りに目を落とした。真っ向から目を見るのが怖いという感情からではなく、もう少し現実的な観点からだ。そして、ちょっとだけ安堵した。不思議なことに、この幽霊は丸腰なのだ。私の頭の中の薄ぼんやりとしたイメージの中では、肩からは機関銃を引っさげ、腰には小さな爆弾と、刀だかナイフだかを携帯しているはずなのだが、そのいずれも無い。すかすかだ。それどころか、ひょろひょろだ。
 馬鹿め。幾ら幽霊と言えども、権威を笠に着ながら、されども着こなせないで居ては迫力も何もあったものではない。似合っていないのだ。間抜けなだけだ。逆に、米軍の屈強な男が白い経帷子に天冠をつけ、手を胸の前にたらして「うらめしや」などとほざくのを想像するがよかろう。これは悪ふざけにしか見えない。
 その幽霊が「あの、すみませんが」などと気安く声をかけてきたので、私は迷うことなく鉄板入りの鞄でもって、その頬を強打したのである。



>>選択式御題 44日目
34.「どもりがちな言葉はいつも途切れ途切れで大切なことを伝えようとするたびに声を失ってしまうだ なんて」




>>選択式御題 43日目
65.「嗚呼 あんたのように美しく生きることさえ出来やしないの に」


>>選択式御題 42日目
46.「お前と俺は出逢ったのです」

>>選択式御題 41日目
33.「絶えず生まれ続ける」





>>選択式御題 40日目
48.「狂ってしまうのではないかと想うほどこんなにも愛した人は初めてなの に」



>>選択式御題 39日目
25.「愛するひとへと飲み込んだ 遺言」



>>選択式御題 38日目
8.「弱すぎた俺を赦さないで よ」

>>選択式御題 37日目
66.「こんなにも溢れ出る言葉をわたしは 知らない」

>>選択式御題 36日目
21.「乞うことにも乞われることにも慣れてしまったあんたのひたむきさ 忘れてしまった何か」
>>選択式御題 35日目
56.「全てを背負うこと」

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