>>FINAL FANTASY V Advanced DQN 第6話
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3人は縛られたまま、床に腰を下ろした。床板は少しばかり湿り気を帯びていて、あまり心地よいものではない。
「はぁー、参ったのう。誰じゃ!海賊船を盗むなどと言い出した奴は!」
ガラフが唾を飛ばしながらわめいた。
「おめーだろーが!どうしてくれんだよこれよぉっ!」
「うっ・・・・!!あ、頭が痛い!!記憶喪失じゃ!!何も思い出せんぞ!!!」
ブンブンと頭を振るガラフだが、それは演技と呼ぶのも厚かましいふざけた動きでる。しかしなぜか憎めないのが不思議である。バッツには老人をいたぶる趣味など元々ないが。
「ったく、都合のいい記憶喪失もあったもんだな」
「あっひゃっひゃ!」
「それにしても、レナが姫さんだったなんてなァ・・・・」
「こりゃ、バッツ!レナ様じゃ!レナ様とお呼び!オーッホッホッホ!」
「いいえ、レナで構いませんわ。そう呼ばれる方が、その・・・」
「あひゃ!お姫様と友達になっちまったわい!こりゃ愉快じゃっひゃっひゃ!!」
「てめぇ、今の状況わかってんのかよ・・・」
海賊に捉えられていることはさて置き、何が起きたのかは判らないが、兎に角、バッツ達の前から「風」が消えた。ほんの短時間ならともかく、少なくともバッツが眠っている途中から洞窟に入る直前までずっとだ。いや、洞窟内でも普通なら空気の流れはあるものだが、それも全く無かった。今でもそれが続いている可能性が非常に高いと見当をつける。もし、それが世界中で起きているとなれば・・・?
「それで風の神殿・・・クリスタルだな?」
「ええ・・・」
クリスタル・・・・それがいつから存在しているのかはよく分かっていない。判明しているのは、人知を超えた高エネルギー体である、ということだけだ。
風。
火。
水。
土。
4つのクリスタルが確認されている。自然を司る、太陽に次ぐ物質であるとか、手にした者は世界を手に入れることが出来るだとか、不老不死になれるだとか、あらゆる知識が得られるとか、兎に角スケールの大きな、または胡散臭い話が付きまとう物体である。風が止まってしまったことと何か関係があるのではないか、という推測はなるほどありえそうだが、バッツは今ひとつピンとこなかった。
「なぁ、考えすぎじゃないのか?クリスタルったって、要するに宝石だろ?そんな物で世界が左右されちまうのか?」
「わかりません。ですが、何か言い知れぬ不安と申しましょうか、胸騒ぎが一向に止む気配も無く・・・」
「うーん。まぁ、考えたってわかんねぇもんはわかんねぇな。それよりここから生きて出れるのかどうかが問題なわけだが」
指先だけでも動かせるのなら互いにロープを解くことも可能であったが、海賊達はそんなヘマはしない。3人ともろくに動くことも出来ず、床に寝そべって寝苦しい夜を迎えた。
「あー小便してぇ・・・・」
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3人は縛られたまま、床に腰を下ろした。床板は少しばかり湿り気を帯びていて、あまり心地よいものではない。
「はぁー、参ったのう。誰じゃ!海賊船を盗むなどと言い出した奴は!」
ガラフが唾を飛ばしながらわめいた。
「おめーだろーが!どうしてくれんだよこれよぉっ!」
「うっ・・・・!!あ、頭が痛い!!記憶喪失じゃ!!何も思い出せんぞ!!!」
ブンブンと頭を振るガラフだが、それは演技と呼ぶのも厚かましいふざけた動きでる。しかしなぜか憎めないのが不思議である。バッツには老人をいたぶる趣味など元々ないが。
「ったく、都合のいい記憶喪失もあったもんだな」
「あっひゃっひゃ!」
「それにしても、レナが姫さんだったなんてなァ・・・・」
「こりゃ、バッツ!レナ様じゃ!レナ様とお呼び!オーッホッホッホ!」
「いいえ、レナで構いませんわ。そう呼ばれる方が、その・・・」
「あひゃ!お姫様と友達になっちまったわい!こりゃ愉快じゃっひゃっひゃ!!」
「てめぇ、今の状況わかってんのかよ・・・」
海賊に捉えられていることはさて置き、何が起きたのかは判らないが、兎に角、バッツ達の前から「風」が消えた。ほんの短時間ならともかく、少なくともバッツが眠っている途中から洞窟に入る直前までずっとだ。いや、洞窟内でも普通なら空気の流れはあるものだが、それも全く無かった。今でもそれが続いている可能性が非常に高いと見当をつける。もし、それが世界中で起きているとなれば・・・?
「それで風の神殿・・・クリスタルだな?」
「ええ・・・」
クリスタル・・・・それがいつから存在しているのかはよく分かっていない。判明しているのは、人知を超えた高エネルギー体である、ということだけだ。
風。
火。
水。
土。
4つのクリスタルが確認されている。自然を司る、太陽に次ぐ物質であるとか、手にした者は世界を手に入れることが出来るだとか、不老不死になれるだとか、あらゆる知識が得られるとか、兎に角スケールの大きな、または胡散臭い話が付きまとう物体である。風が止まってしまったことと何か関係があるのではないか、という推測はなるほどありえそうだが、バッツは今ひとつピンとこなかった。
「なぁ、考えすぎじゃないのか?クリスタルったって、要するに宝石だろ?そんな物で世界が左右されちまうのか?」
「わかりません。ですが、何か言い知れぬ不安と申しましょうか、胸騒ぎが一向に止む気配も無く・・・」
「うーん。まぁ、考えたってわかんねぇもんはわかんねぇな。それよりここから生きて出れるのかどうかが問題なわけだが」
指先だけでも動かせるのなら互いにロープを解くことも可能であったが、海賊達はそんなヘマはしない。3人ともろくに動くことも出来ず、床に寝そべって寝苦しい夜を迎えた。
「あー小便してぇ・・・・」
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>>FINAL FANTASY V Advanced DQN 第5話
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テンションの上がったバッツは手を上げて大声を出した。ボコが嬉しそうに走り回っているが、しかし船は一向に動かない。
「な、なぁ・・・船ってどうやって動かすんだ・・・?あ、いや、ほら。小さい船なら分かりそうなもんだけど、こんなデカイの乗ったこと無いしさ・・・はは・・・・」
「・・・」
「・・・」
「おい、爺さん。あんたなら知ってたりするんじゃないか?」
あまり期待はせず、老人に助けを求めてみる。
「おーおー、知ってるとも!はしご引っ掛けてイカリ降ろしたまんまじゃ、どんな船も動きゃせんわ!しかしじゃ!それはともかく、風が無いとなるとこのガラフ様もお手上げじゃっひゃっひゃ!」
この老人はそれを知っていながら、何故船を盗もうなどと言い出したのであろうか。バッツは思わず、盛大なため息をついた。
「ここはやはり、海賊の方々にお頼み申し上げるほか・・・」
「あー・・風か・・・風が無いんじゃ海賊だってどうしようもないさ・・・はぁ」
「海賊がどうかしたって?」
初めて聞く声にはっとして振り返ると、そこには薄紫の長い髪で顔を半分隠し、これまた海賊ですと言わんばかりの身形の男が立っていた。バッツよりも小柄なのだが、何ともいえぬ威圧感を発している。その背後にも屈強な賊が6名、不敵な笑みを浮かべていた。
まずいことになった。派手に抵抗したいところだが、レナとガラフは確実に足を引っ張るだろうし、向こうは向こうで戦闘に慣れているはずだ。地の利も無い。どうすべきか悩んでいるところ、レナが一歩踏み出し、膝をついた。
「お、おい」
「これはあなた様方の船であるとお見受けいたします」
何をヌケヌケと・・・バッツはそう思ったが、黙っていることにした。
「勝手に乗り込み、あまつさえ奪取しようなどという蛮行、甚だ恥ずかしく、いかほどの謝罪の言葉も及びません。ですが、私どもの言い分にもどうか耳を傾けていただきたく存じます。私の名はレナ。タイクーン国第一王女にてございます。以って第17代国王である父君の行方がこの先の風の神殿にあり、その身が危機に晒されているやも知れません。また、聡明なるあなた様ならば、現在この世界に於いて風が止むという尋常ならぬ天変が進行していることにはお気づきかと拝察いたします。その原因もまた、風の神殿にあるのではないかと考え及び、矢も盾もたまらず、出向した次第にあります。されどご存知の通り、度重なる地震によって地形は変動、路は断たれ、いかんともし難くなったところをこの根城へとたどり着き、あぁ、何と言う浅慮蒙昧。これも悪魔のなせる業でしょうか。このあまりにご立派な船さえあれば・・などと思い当たり、今回のような愚行に出てしまいましたこと、如何なる弁解をもってしても取り繕うことは出来ません。ですがどうか、どうか今回ばかりはお目を瞑っていただくことは出来ませんでしょうか。勝手な申し出であることは十二分に承知の上でございます。恥じを忍んでの申し出にございます。お力を貸していただけるというのならば、国を挙げてあなた様方を歓迎し、誠心誠意の謝礼を尽くす所存にてございます」
お前は何時代の何人だよ・・・そう思ったバッツの脳裏には、一言だけが引っかかっていた。
「・・・・・王・・・・女・・・?」
「あひゃ、様じゃ、様じゃよバッツ。こりゃあ一本取られたわい!あっひゃっひゃ」
馬鹿な笑い声を上げるガラフと同時に、海賊もニヤリと歯を見せた。しかしそれが好意を示すものでないことは、誰の目にも明らかであった。
「へぇ。お姫様かい。こりゃあ良い金になりそうだぜ!」
しかしその瞬間、海賊の目つきが少し変わった。
「おい、お姫さん・・・・そのペンダントはどこで手に入れた?」
いかにも貧しい村娘のようないでたちのレナであるが、胸に着けたペンダントは些か不釣合いな美しさを放っていた。バッツも出会ったときから少し気にはなっていたのだが、ガラスを磨きこんだ精一杯のお洒落であろうと考えていた。しかし、レナがタイクーンの姫君であることが分かった今、わざわざ貧しいなりをした上にそんな目立つ物を身に付ける理由がわからない。そういえば、ガラフも何となく高価そうな腕輪をつけているが、まぁ、この老人については詮索しても仕方が無いので目を瞑ることにする。
レナがナニゴトか答えようとしたが、海賊はすぐにそれをさえぎり、顔を赤くしながらわめいた。
「べ、別に興味なんか無いんだからなッ!おい!こいつらを牢にぶち込んどけ!!」
「へい!」
バッツとレナ、ガラフはロープでグルグル巻にされ、船の中の一室に連れ込まれた。ボコだけは「悪いようにしない」と言うことでどこかへと連れて行かれたが、海賊の言うことを信じて良いものなのか・・・とはいえ逆らう術は無かったのだが。
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テンションの上がったバッツは手を上げて大声を出した。ボコが嬉しそうに走り回っているが、しかし船は一向に動かない。
「な、なぁ・・・船ってどうやって動かすんだ・・・?あ、いや、ほら。小さい船なら分かりそうなもんだけど、こんなデカイの乗ったこと無いしさ・・・はは・・・・」
「・・・」
「・・・」
「おい、爺さん。あんたなら知ってたりするんじゃないか?」
あまり期待はせず、老人に助けを求めてみる。
「おーおー、知ってるとも!はしご引っ掛けてイカリ降ろしたまんまじゃ、どんな船も動きゃせんわ!しかしじゃ!それはともかく、風が無いとなるとこのガラフ様もお手上げじゃっひゃっひゃ!」
この老人はそれを知っていながら、何故船を盗もうなどと言い出したのであろうか。バッツは思わず、盛大なため息をついた。
「ここはやはり、海賊の方々にお頼み申し上げるほか・・・」
「あー・・風か・・・風が無いんじゃ海賊だってどうしようもないさ・・・はぁ」
「海賊がどうかしたって?」
初めて聞く声にはっとして振り返ると、そこには薄紫の長い髪で顔を半分隠し、これまた海賊ですと言わんばかりの身形の男が立っていた。バッツよりも小柄なのだが、何ともいえぬ威圧感を発している。その背後にも屈強な賊が6名、不敵な笑みを浮かべていた。
まずいことになった。派手に抵抗したいところだが、レナとガラフは確実に足を引っ張るだろうし、向こうは向こうで戦闘に慣れているはずだ。地の利も無い。どうすべきか悩んでいるところ、レナが一歩踏み出し、膝をついた。
「お、おい」
「これはあなた様方の船であるとお見受けいたします」
何をヌケヌケと・・・バッツはそう思ったが、黙っていることにした。
「勝手に乗り込み、あまつさえ奪取しようなどという蛮行、甚だ恥ずかしく、いかほどの謝罪の言葉も及びません。ですが、私どもの言い分にもどうか耳を傾けていただきたく存じます。私の名はレナ。タイクーン国第一王女にてございます。以って第17代国王である父君の行方がこの先の風の神殿にあり、その身が危機に晒されているやも知れません。また、聡明なるあなた様ならば、現在この世界に於いて風が止むという尋常ならぬ天変が進行していることにはお気づきかと拝察いたします。その原因もまた、風の神殿にあるのではないかと考え及び、矢も盾もたまらず、出向した次第にあります。されどご存知の通り、度重なる地震によって地形は変動、路は断たれ、いかんともし難くなったところをこの根城へとたどり着き、あぁ、何と言う浅慮蒙昧。これも悪魔のなせる業でしょうか。このあまりにご立派な船さえあれば・・などと思い当たり、今回のような愚行に出てしまいましたこと、如何なる弁解をもってしても取り繕うことは出来ません。ですがどうか、どうか今回ばかりはお目を瞑っていただくことは出来ませんでしょうか。勝手な申し出であることは十二分に承知の上でございます。恥じを忍んでの申し出にございます。お力を貸していただけるというのならば、国を挙げてあなた様方を歓迎し、誠心誠意の謝礼を尽くす所存にてございます」
お前は何時代の何人だよ・・・そう思ったバッツの脳裏には、一言だけが引っかかっていた。
「・・・・・王・・・・女・・・?」
「あひゃ、様じゃ、様じゃよバッツ。こりゃあ一本取られたわい!あっひゃっひゃ」
馬鹿な笑い声を上げるガラフと同時に、海賊もニヤリと歯を見せた。しかしそれが好意を示すものでないことは、誰の目にも明らかであった。
「へぇ。お姫様かい。こりゃあ良い金になりそうだぜ!」
しかしその瞬間、海賊の目つきが少し変わった。
「おい、お姫さん・・・・そのペンダントはどこで手に入れた?」
いかにも貧しい村娘のようないでたちのレナであるが、胸に着けたペンダントは些か不釣合いな美しさを放っていた。バッツも出会ったときから少し気にはなっていたのだが、ガラスを磨きこんだ精一杯のお洒落であろうと考えていた。しかし、レナがタイクーンの姫君であることが分かった今、わざわざ貧しいなりをした上にそんな目立つ物を身に付ける理由がわからない。そういえば、ガラフも何となく高価そうな腕輪をつけているが、まぁ、この老人については詮索しても仕方が無いので目を瞑ることにする。
レナがナニゴトか答えようとしたが、海賊はすぐにそれをさえぎり、顔を赤くしながらわめいた。
「べ、別に興味なんか無いんだからなッ!おい!こいつらを牢にぶち込んどけ!!」
「へい!」
バッツとレナ、ガラフはロープでグルグル巻にされ、船の中の一室に連れ込まれた。ボコだけは「悪いようにしない」と言うことでどこかへと連れて行かれたが、海賊の言うことを信じて良いものなのか・・・とはいえ逆らう術は無かったのだが。
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>>FINAL FANTASY V Advanced DQN 第4話
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洞窟の入り口は土砂に埋もれることもなく、簡単に見つかった。
中は3人と1羽が横並びになってもまだ余裕があるほど広く、しかもどこからか光が漏れているらしく、目を凝らせばなんとか前も見えた。
一行は慎重に歩を進めた。時折、天井から滴る水の粒が背中をぬらしてはギャッと悲鳴を上げる。バッツが。
「何じゃ何じゃ、助っ人が情けない声を出しおって」
「っせーな、てめーこそさっきから足元フラフラじゃねーか」
洞窟の幅は広いが足元は決して平坦ではなく、気を抜けば転びそうであった。
コウモリの群れに遭遇しながらも奥へ奥へ行くと、突然視界が開けた。ドーム状のそこはあちこちにランプが設置されているし、どこからか潮の香りがする。いや、そんなことは如何でも良くて、バッツ達の目を奪ったのはあらゆるところに掲げられたドクロマークであった。
「これ、もしかして・・・海賊のアジト?」
とんでもないところへ出てしまった。バッツは隕石の方へ向かう前、トゥールの村で「洞窟は通らない方が良い」と言われていたことを思い出した。隕石が落ちてきて度重なる地震が発生し、陸路が断たれるまではわざわざ洞窟を抜ける理由など無かったし言われるまでも無かったのだが、なるほど、中が海賊の巣窟となってるとあれば、ますますここを好き好んで通る者は居ないだろう。
しかし今は肝心の陸路は断たれ、戻っても如何しようもない。八方塞だ。
「乗せてもらうわけにはいきませんでしょうか?」
レナは平然と言ってのけた。確かに、無事に洞窟を抜けたとしても風の神殿へは陸路で行くよりも船の方が何倍も早いし、隕石衝突から多発している地震(実はアジトに到達するまでにも2回地震があった)の為、まともに歩いて行けるかどうかさえも怪しい。
だが、だからと言って海賊が船を貸してくれるなどとは到底考えられない。
「しからば、コッソリと頂くしかあるまい!」
大声でわめき立てて笑い飛ばすガラフの口もとを押さえつけた。
「バカ!見つかったら殺されんぞ!」
幾つかの木製の扉が見える。クモの巣のように分岐している洞穴を部屋のように使っているのだろう。そしてそれらの扉の向こうには海賊が潜んでいるに違いない。外に見張りがいないことは幸いだった。
扉の無い道が2つだけあって、一つはたった今3人と1羽がやってきた道。もう一つは、細い橋がどこかへと繋がっている。風が無いので気付かなかったが、橋の周りは水で満たされており、洞穴はそのまま奥へ奥へと続いて左に曲がって見えなくなる。僅かな潮の香りから、そこが海へと通じていることは明らかであった。
「ほれ、あの先に船があるんじゃよ」
陸路を選ぼうとすればいずれかの扉を開かねばならないし、戻ったところで風の神殿へ続く道は皆無だ。実際には土砂の上を行くことは可能だろうが、危険極まりないことには変わらない。一番理想的な船旅への道だけが開放されているのだ。
「はぁ、しょーがねー。何とかなるだろ」
「あっひゃっひゃ!それでこそ男じゃ!」
「泥棒の何が男だよ・・・まぁいいや。とにかく行ってみようぜ」
ボコの体重で崩れやしないかと若干ハラハラしながら橋を渡っていくと、巨大な船がバッツ達を出迎えた。そこら中がドクロマークで装飾されており、「オレたちゃ海賊だ!」と言わんばかりだ。
「思ったよりでけぇな・・・」
船に乗り込むと、バッツは早速舵を取った。
「よーし!出発だぁ!」
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洞窟の入り口は土砂に埋もれることもなく、簡単に見つかった。
中は3人と1羽が横並びになってもまだ余裕があるほど広く、しかもどこからか光が漏れているらしく、目を凝らせばなんとか前も見えた。
一行は慎重に歩を進めた。時折、天井から滴る水の粒が背中をぬらしてはギャッと悲鳴を上げる。バッツが。
「何じゃ何じゃ、助っ人が情けない声を出しおって」
「っせーな、てめーこそさっきから足元フラフラじゃねーか」
洞窟の幅は広いが足元は決して平坦ではなく、気を抜けば転びそうであった。
コウモリの群れに遭遇しながらも奥へ奥へ行くと、突然視界が開けた。ドーム状のそこはあちこちにランプが設置されているし、どこからか潮の香りがする。いや、そんなことは如何でも良くて、バッツ達の目を奪ったのはあらゆるところに掲げられたドクロマークであった。
「これ、もしかして・・・海賊のアジト?」
とんでもないところへ出てしまった。バッツは隕石の方へ向かう前、トゥールの村で「洞窟は通らない方が良い」と言われていたことを思い出した。隕石が落ちてきて度重なる地震が発生し、陸路が断たれるまではわざわざ洞窟を抜ける理由など無かったし言われるまでも無かったのだが、なるほど、中が海賊の巣窟となってるとあれば、ますますここを好き好んで通る者は居ないだろう。
しかし今は肝心の陸路は断たれ、戻っても如何しようもない。八方塞だ。
「乗せてもらうわけにはいきませんでしょうか?」
レナは平然と言ってのけた。確かに、無事に洞窟を抜けたとしても風の神殿へは陸路で行くよりも船の方が何倍も早いし、隕石衝突から多発している地震(実はアジトに到達するまでにも2回地震があった)の為、まともに歩いて行けるかどうかさえも怪しい。
だが、だからと言って海賊が船を貸してくれるなどとは到底考えられない。
「しからば、コッソリと頂くしかあるまい!」
大声でわめき立てて笑い飛ばすガラフの口もとを押さえつけた。
「バカ!見つかったら殺されんぞ!」
幾つかの木製の扉が見える。クモの巣のように分岐している洞穴を部屋のように使っているのだろう。そしてそれらの扉の向こうには海賊が潜んでいるに違いない。外に見張りがいないことは幸いだった。
扉の無い道が2つだけあって、一つはたった今3人と1羽がやってきた道。もう一つは、細い橋がどこかへと繋がっている。風が無いので気付かなかったが、橋の周りは水で満たされており、洞穴はそのまま奥へ奥へと続いて左に曲がって見えなくなる。僅かな潮の香りから、そこが海へと通じていることは明らかであった。
「ほれ、あの先に船があるんじゃよ」
陸路を選ぼうとすればいずれかの扉を開かねばならないし、戻ったところで風の神殿へ続く道は皆無だ。実際には土砂の上を行くことは可能だろうが、危険極まりないことには変わらない。一番理想的な船旅への道だけが開放されているのだ。
「はぁ、しょーがねー。何とかなるだろ」
「あっひゃっひゃ!それでこそ男じゃ!」
「泥棒の何が男だよ・・・まぁいいや。とにかく行ってみようぜ」
ボコの体重で崩れやしないかと若干ハラハラしながら橋を渡っていくと、巨大な船がバッツ達を出迎えた。そこら中がドクロマークで装飾されており、「オレたちゃ海賊だ!」と言わんばかりだ。
「思ったよりでけぇな・・・」
船に乗り込むと、バッツは早速舵を取った。
「よーし!出発だぁ!」
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>>FINAL FANTASY V Advanced DQN 第3話
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隕石の周辺をしばらく探索してみたが、特に目に付くものも見当たらなかったので森の外に待たせてあったボコに飛び乗り、空を見上げた。雲が全く動いていないのはどう考えても異常であり、バッツは何となく気分が悪くなった。そんなものを見ていたって仕方がないので、視線を前に戻そうとしたその瞬間、首が折れんばかりの負荷がかかる。
「のわっ!!ボコ!!!!まてコラァ!!」
ボコはバッツの言うことを一切聞かず、草原をグルグルと駆けずり回る。
「おい!ちょっ、あぶねーだろーが!!」
舌を噛みそうになる。ボコは猛然とスピードを上げ、今朝までキャンプを張っていた例の森の北側を目指し、一直線に走り出す。
「コラァ!!そっち行ったら後戻りだろーが!何考えてんだ馬鹿!!!」
思い切り走るだけ走り、ようやくその速度にバッツが慣れ始めたところでボコは急ブレーキをかけた。
「んなっ!」と叫んでは見たものの、勢いに乗ったバッツの体は急には止まれず、ボコの背中から投げ出されて草むらの上を転がった。
「ってーな!!何しやがる!!」
頭を起こすと、ボコは怒ったような表情でバッツを見下ろしていた。
「んだよその目は!てめー反抗期か!?焼いて食っちまうぞ!!!」
「クエッ!クエクエッ!」
「あぁ、お望みどおり食ってやらあ!」
ボコは叫びながら地団太を踏んだ。それが何らかの不平を訴えているということを、バッツはちゃんと知っていた。
「クエーっっ!!」
ドスドスと足を踏み鳴らすボコの主張は明白だった。ボコはレナとガラフが走って森をでるのを見ていたはずであり、隕石襲来などという大事件が起こった直後であり、また、最近はゴブリンを含め、さまざまなモンスターがあちこちに現れては人を襲っているという。ボコはバッツに、二人を手助けしてやれと主張しているわけだ。
「・・・ぬぅ・・・・あー、もう、分かったよ。ウゼー!」
レナとガラフが向かったであろう方向に猛スピードで走っている時、大きな揺れがバッツとボコを襲った。
その地震はかなり大きく、そこら中で地割れが起こった。
「うぉ、やべぇ!ボコ、急げ!!」
大急ぎで走り、狭い谷に侵入する。昨日通ったばかりの場所だが、そこにも地割れが起こっていた。
「いけるな、ボコ!」
「クエーッ!」
ボコのわき腹を軽く蹴ると、その驚異的な跳躍で軽々と地割れを超える。着地する間際に再度地震が起こり、危うく躓きそうになりながらも懸命に走った。地割れをもう一つ超えると、ようやくレナとガラフに追いついた。彼らは巨大地震の前になす術なく、できるだけ広い場所を選んでじっと身構えている。
「おい!二人とも!!乗れ!」
「バッツ様!?」
レナとガラフを引き上げ、少々狭いが何とかボコの背に乗せる。普通、チョコボは一人乗りなのだが、ここはボコに踏ん張ってもらうしかない。こうしてる間にも地震は続いているし、あちこちで新たな地割れも起きているのだ。
ボコは「グエッ!」とやや苦しそうに声を上げ、ドスドスと走り始めた。その足取りは決して軽やかではないが、バッツが思っていたよりも十分な速度は出せるようだ。目の前に現れた地割れも辛うじて飛び越える。
激しい揺れは5分近く続くとピタリと止み、3人はボコから降りてへたり込んだ。
「一度ならず二度までも、本当に有難うございます」
レナはそう言ってうやうやしく頭を下げ、ガラフは放心状態であった。
「隕石の影響かな・・・こんな地震、初体験だ。・・・つーかやべぇな・・・」
バッツはそう言いながら仰向けに寝転がった。3人が居るのはバッツがこっちへ向かう時に通った場所なのだが、地震の影響で地形が変わってしまっている。この先にトゥールという村があるのだが、土砂やら何やらで通れそうにない。
「そんな・・・一刻も早く風の神殿へと向かわねばなりませんのに・・・・」
「いや、確か道以外にも洞窟が向こうと繋がってた筈だから、埋まってなけりゃ使えると思う。入ったこと無いからよくわかんねーけど」
「まぁ、本当ですの?それでは私は早速・・・」
レナがそう言いかけたところで、ボコがわめいた。
「だーっ!わーってるよ!!・・・・・んっとな、その、風の神殿?俺も行くわ」
そもそも、バッツがボコと旅をしているのは父親の遺言である。世界中を見て回れとのことだが、そんなことが何になるのかバッツには判らない。3人が出会った事も何かの縁であろうし、どうせ目的地も決まっていないのだから一緒に行動しても良いだろう・・・・と、ボコが主張する。
「とか何とか言って、本当はこの子にホの字じゃないのかい?」
黙っていたガラフが突然そんな事を口走ると、ゲラゲラと笑い始めた。
「よーし爺さん。神に祈る言葉を持っているか?7秒の時間をくれてやるから、持っているならさっさと祈れ。この世で最後の祈りをなぁっ!!」
「あっひゃっひゃ!若いモンはえぇのう!!ひゃっひゃっひゃ!」
「まぁ、お爺様ったらお戯れを」
と、レナもまた愉快そうに笑う。ついさっきまで命の危機にあったというのに、なんと気楽な連中であろうか。しかしバッツもまた、今の状況を本気で重く見ているわけではない。何らかの根拠があるのではなく、要するに楽天家なのだ。
こんなことで本当に大丈夫であろうか・・・そう思ったのは、ボコだけであった。
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隕石の周辺をしばらく探索してみたが、特に目に付くものも見当たらなかったので森の外に待たせてあったボコに飛び乗り、空を見上げた。雲が全く動いていないのはどう考えても異常であり、バッツは何となく気分が悪くなった。そんなものを見ていたって仕方がないので、視線を前に戻そうとしたその瞬間、首が折れんばかりの負荷がかかる。
「のわっ!!ボコ!!!!まてコラァ!!」
ボコはバッツの言うことを一切聞かず、草原をグルグルと駆けずり回る。
「おい!ちょっ、あぶねーだろーが!!」
舌を噛みそうになる。ボコは猛然とスピードを上げ、今朝までキャンプを張っていた例の森の北側を目指し、一直線に走り出す。
「コラァ!!そっち行ったら後戻りだろーが!何考えてんだ馬鹿!!!」
思い切り走るだけ走り、ようやくその速度にバッツが慣れ始めたところでボコは急ブレーキをかけた。
「んなっ!」と叫んでは見たものの、勢いに乗ったバッツの体は急には止まれず、ボコの背中から投げ出されて草むらの上を転がった。
「ってーな!!何しやがる!!」
頭を起こすと、ボコは怒ったような表情でバッツを見下ろしていた。
「んだよその目は!てめー反抗期か!?焼いて食っちまうぞ!!!」
「クエッ!クエクエッ!」
「あぁ、お望みどおり食ってやらあ!」
ボコは叫びながら地団太を踏んだ。それが何らかの不平を訴えているということを、バッツはちゃんと知っていた。
「クエーっっ!!」
ドスドスと足を踏み鳴らすボコの主張は明白だった。ボコはレナとガラフが走って森をでるのを見ていたはずであり、隕石襲来などという大事件が起こった直後であり、また、最近はゴブリンを含め、さまざまなモンスターがあちこちに現れては人を襲っているという。ボコはバッツに、二人を手助けしてやれと主張しているわけだ。
「・・・ぬぅ・・・・あー、もう、分かったよ。ウゼー!」
レナとガラフが向かったであろう方向に猛スピードで走っている時、大きな揺れがバッツとボコを襲った。
その地震はかなり大きく、そこら中で地割れが起こった。
「うぉ、やべぇ!ボコ、急げ!!」
大急ぎで走り、狭い谷に侵入する。昨日通ったばかりの場所だが、そこにも地割れが起こっていた。
「いけるな、ボコ!」
「クエーッ!」
ボコのわき腹を軽く蹴ると、その驚異的な跳躍で軽々と地割れを超える。着地する間際に再度地震が起こり、危うく躓きそうになりながらも懸命に走った。地割れをもう一つ超えると、ようやくレナとガラフに追いついた。彼らは巨大地震の前になす術なく、できるだけ広い場所を選んでじっと身構えている。
「おい!二人とも!!乗れ!」
「バッツ様!?」
レナとガラフを引き上げ、少々狭いが何とかボコの背に乗せる。普通、チョコボは一人乗りなのだが、ここはボコに踏ん張ってもらうしかない。こうしてる間にも地震は続いているし、あちこちで新たな地割れも起きているのだ。
ボコは「グエッ!」とやや苦しそうに声を上げ、ドスドスと走り始めた。その足取りは決して軽やかではないが、バッツが思っていたよりも十分な速度は出せるようだ。目の前に現れた地割れも辛うじて飛び越える。
激しい揺れは5分近く続くとピタリと止み、3人はボコから降りてへたり込んだ。
「一度ならず二度までも、本当に有難うございます」
レナはそう言ってうやうやしく頭を下げ、ガラフは放心状態であった。
「隕石の影響かな・・・こんな地震、初体験だ。・・・つーかやべぇな・・・」
バッツはそう言いながら仰向けに寝転がった。3人が居るのはバッツがこっちへ向かう時に通った場所なのだが、地震の影響で地形が変わってしまっている。この先にトゥールという村があるのだが、土砂やら何やらで通れそうにない。
「そんな・・・一刻も早く風の神殿へと向かわねばなりませんのに・・・・」
「いや、確か道以外にも洞窟が向こうと繋がってた筈だから、埋まってなけりゃ使えると思う。入ったこと無いからよくわかんねーけど」
「まぁ、本当ですの?それでは私は早速・・・」
レナがそう言いかけたところで、ボコがわめいた。
「だーっ!わーってるよ!!・・・・・んっとな、その、風の神殿?俺も行くわ」
そもそも、バッツがボコと旅をしているのは父親の遺言である。世界中を見て回れとのことだが、そんなことが何になるのかバッツには判らない。3人が出会った事も何かの縁であろうし、どうせ目的地も決まっていないのだから一緒に行動しても良いだろう・・・・と、ボコが主張する。
「とか何とか言って、本当はこの子にホの字じゃないのかい?」
黙っていたガラフが突然そんな事を口走ると、ゲラゲラと笑い始めた。
「よーし爺さん。神に祈る言葉を持っているか?7秒の時間をくれてやるから、持っているならさっさと祈れ。この世で最後の祈りをなぁっ!!」
「あっひゃっひゃ!若いモンはえぇのう!!ひゃっひゃっひゃ!」
「まぁ、お爺様ったらお戯れを」
と、レナもまた愉快そうに笑う。ついさっきまで命の危機にあったというのに、なんと気楽な連中であろうか。しかしバッツもまた、今の状況を本気で重く見ているわけではない。何らかの根拠があるのではなく、要するに楽天家なのだ。
こんなことで本当に大丈夫であろうか・・・そう思ったのは、ボコだけであった。
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>>FINAL FANTASY V Advanced DQN第2話
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「ボコ、ちょっと待ってろ」
その森の樹はへし折られ、なぎ倒され、所々煙を噴いていた。火が付いていないのは幸いか。しかし辺りには焦げたような匂いが立ち込めており、もう少し乾燥していれば火事になっていたかも知れぬ。
少し進むと、景色が開けた。とは言っても広場になっているのではなく、巨大な何かが引きずられたような跡が残っていて、周囲の樹木や草花は地面ごとえぐられているようだ。20メートルほど向こうには、また草花が生い茂っているが、左を見るとえぐられた茶色い地面が岩山の方まで続いている。
と、その時だった。背後で物音がしたかと思うと、それは二匹のゴブリンだ。ゴブリンは小さな人間のようにも見えるが、れっきとしたモンスターである。しかし闘争本能はそれなりにあるものの、戦闘能力は極端に低く、子供でもそうそう襲われることはない。なのでバッツもそれほど警戒する必要はなかったのだが、この二匹のゴブリンは協力して、人間を運んでいるではないか!
「にゃろう!」
ゴブリンめがけて走り出すと向こうはすぐにバッツに気付き、目を丸く見開いたかと思うと抱えていた女をどさっと落とし、何事かわめきながら逃げていった。何とも情けない姿ではある。
「おい、あんた、大丈夫か?」
赤毛の女は気を失っているのか、ウームと苦しげにうなるだけだった。落とされたのは草むらの上なので、それによるケガは無さそうだ。
身なりはどうもみすぼらしいと言うか垢抜けない印象で、同年代のようにも思えるが顔はやや幼い。しかしいかにも華奢そうな白い肌は美しく、もっと綺麗な服を着せてやればずいぶん似合いそうだった。
そんな事をぼんやり思っていると、女はゆっくりと目を開いた。
「お、気が付いたか」
「あ・・・私・・・」
「ゴブリンに拉致られそうになってたぜ。間抜けだな」
半身を起こすと赤毛の女は目をぱちくりさせ、すぐに状況を飲み込んだらしい。
「そうでしたか。どうもありがとうございます。申し送れましたが、私、名をレナと申します。このお礼はいずれ必ず。さしあたって、よろしければお名前をお教え願えませんでしょうか?」
「バッツですが何か?つーかゴブリン如きにやられんなよな・・・」
「本当に有難うございます。こう申し上げては些か言い訳の様相を呈することまことに真なりて甚だ恥ずかしき次第ではあるのですが、実はここを通りかかった時、上空より参りましたる巨大な岩らしき物体による爆風にあおられまして。ショックで気を失ったようなのです。バッツ様が居なければと思うと、あぁ、思い起こすだけでも恐ろしい事しきり。なんとお礼を申し上げればよろしいことか」
「あっそ」
レナと名乗るその女は早口でまくし立てると、すばやく立ち上がった。本当のところ、バッツはその話し方にウンザリしており、殆ど聞いていなかった。ただ、どうやらバッツをたたき起こし草木をへし折った「何か」の正体は、隕石の類らしい。事実、えぐられている地面はバッツから見て左の方へ続いており、向こう側の岩山の辺りが変色している。実際は岩山が変色しているのではなく、巨大な茶色い隕石がそこに立ちはだかっているのだが、遠目からはそれが岩山の一部なのか異質の物なのかはわかりにくい。えぐれた地面がそれの異常性を物語るのみである。
「本当ならば今すぐにでもあなた様を拙宅へと招き入れましては精一杯のおもてなしをさせて頂きたいのではありますが、まことに遺憾ながら私、並々ならぬ事情にて直ちに出立せねばならないのです」
「はぁ」
バッツが間の抜けた声を出した後、一瞬の間があったかと思うと、どこからかうなるような声が聞こえた。
「バッツ様・・・今のお声は・・・?」
「シッ」
二人が息を潜めると、辺りは完全に静まり返った。動物達はどこかへ避難しているのだろうが、それにしてもさっきから全く風がない。
「う・・・助けてくれ・・・」
バッツとレナは顔を見合わせ、声の方へと走った。それはえぐれた地面の先・・・隕石の方から聞こえる。
果たして、隕石の側でうつぶせに倒れている老人を発見した。風が吹いていれば間違いなく聞こえなかったであろう。
「お気を確かに。今、ポーションを差し上げますわ」
レナは老人を抱き起こすと、腰につけていた小さな袋から透明の小さな球を取り出し、軽く宙へ放った。球は中空で弾けるとキラキラと霧状に変化し、老人を包みこみ、あちこちの傷が見る間に消えていく。
「ん・・・ウーン・・・」
突如、カッと目を見開いたかと思うと老人は元気に飛び上がった。と思ったのも束の間。頭を押さえて片膝をついてしまった。
「おい爺さん、大丈夫かよ」
老人はバッツを見上げると、どうしようもない疑問をもちかけてきた。
「ここはどこじゃ・・?・・・・・・ぬぅ・・・頭を打ったようじゃ・・・・急がねばエク・・・・・・・????ありゃりゃ?あんた誰?そしてわしは誰?あっひゃっひゃ!!」
「かわいそうに・・・頭を打って馬鹿になったのか・・・」
余計なものに関わってしまった・・・そんな思いがバッツの脳裏をよぎる。
「そんな・・・何とおいたわしい・・・」
(おいおい、どう考えたって記憶喪失だろうが。人がボケてんだからフォロー入れろよな・・・)などと思っていると、老人は今一度、カッと目を見開いた。
「・・・ん!そうじゃ、わしの名前はガラフ!ガラフじゃ!素晴らしい!わしカッコ良い!!」
「で?」
「他はわからんのう・・・あっひゃっひゃ!こりゃオカシーわい!!」
「駄目だこりゃ・・・」
腹を抱えてゲラゲラと笑い転げる老人を見下ろし、バッツはため息をついた。実は記憶喪失を装って演技しているだけではないのか?という思いもあったのだが、この際どっちでも良かった。とりあえず、この変な女と老人から解放されるのならば何でも良い。何か起こってくれ。
「あの、私、本当に急がねばならぬ身にありまして、何とかガラフ様をお助けしたいのは山々なのですが、これにて失礼させて頂きたく存じます」
冗談ではない。女が片付くのは良いが、しかしこんな老人と二人っきりにされては困るのだ。何でも良いからとにかく引き止める必要がある。
「急ぐ急ぐって、どこ行くんだ?」
「はい、それに付きましては兎にも角にも風の神殿へと・・・」
言い終わる前に、ガラフが叫んだ。
「なんと!わしもそこに行かねばならなかったような気がしないでもないぞ!たぶん!わしも行く!行くったら行くんじゃっひゃっひゃ!」
その声は恐ろしく張りがあり、とても老人のものとは思えないほどだった。しかしそんなことは如何でも良くて、バッツは別の所で内心ニヤリとした。ガラフがレナに付いて行ってくれれば、自分は心置きなく一人旅が続行できるではないか。
「ですがしかし・・・」
「ええい!なんとしても付いていくぞ!」
フンフンと鼻息を漏らしながら腕を振り回すガラフは、体力があり余ってるらしい。この分なら一人で放っておいても何も問題は無さそうだ。しかし、こんな風に付いて来られても困るので、バッツとしてはなんとしても、ガラフにはレナにくっついていって欲しかった。
「良いじゃねーか。案外、ボディガードになってくれるかも知れねーぞ?」
「・・・・分かりましたわ」
そうあっさりと言うと、レナはちらりとバッツのほうを見やった。ほっとした表情を見破られぬように気をつけつつ、一人旅を続けることを告げると、レナとガラフは森を後にした。
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「ボコ、ちょっと待ってろ」
その森の樹はへし折られ、なぎ倒され、所々煙を噴いていた。火が付いていないのは幸いか。しかし辺りには焦げたような匂いが立ち込めており、もう少し乾燥していれば火事になっていたかも知れぬ。
少し進むと、景色が開けた。とは言っても広場になっているのではなく、巨大な何かが引きずられたような跡が残っていて、周囲の樹木や草花は地面ごとえぐられているようだ。20メートルほど向こうには、また草花が生い茂っているが、左を見るとえぐられた茶色い地面が岩山の方まで続いている。
と、その時だった。背後で物音がしたかと思うと、それは二匹のゴブリンだ。ゴブリンは小さな人間のようにも見えるが、れっきとしたモンスターである。しかし闘争本能はそれなりにあるものの、戦闘能力は極端に低く、子供でもそうそう襲われることはない。なのでバッツもそれほど警戒する必要はなかったのだが、この二匹のゴブリンは協力して、人間を運んでいるではないか!
「にゃろう!」
ゴブリンめがけて走り出すと向こうはすぐにバッツに気付き、目を丸く見開いたかと思うと抱えていた女をどさっと落とし、何事かわめきながら逃げていった。何とも情けない姿ではある。
「おい、あんた、大丈夫か?」
赤毛の女は気を失っているのか、ウームと苦しげにうなるだけだった。落とされたのは草むらの上なので、それによるケガは無さそうだ。
身なりはどうもみすぼらしいと言うか垢抜けない印象で、同年代のようにも思えるが顔はやや幼い。しかしいかにも華奢そうな白い肌は美しく、もっと綺麗な服を着せてやればずいぶん似合いそうだった。
そんな事をぼんやり思っていると、女はゆっくりと目を開いた。
「お、気が付いたか」
「あ・・・私・・・」
「ゴブリンに拉致られそうになってたぜ。間抜けだな」
半身を起こすと赤毛の女は目をぱちくりさせ、すぐに状況を飲み込んだらしい。
「そうでしたか。どうもありがとうございます。申し送れましたが、私、名をレナと申します。このお礼はいずれ必ず。さしあたって、よろしければお名前をお教え願えませんでしょうか?」
「バッツですが何か?つーかゴブリン如きにやられんなよな・・・」
「本当に有難うございます。こう申し上げては些か言い訳の様相を呈することまことに真なりて甚だ恥ずかしき次第ではあるのですが、実はここを通りかかった時、上空より参りましたる巨大な岩らしき物体による爆風にあおられまして。ショックで気を失ったようなのです。バッツ様が居なければと思うと、あぁ、思い起こすだけでも恐ろしい事しきり。なんとお礼を申し上げればよろしいことか」
「あっそ」
レナと名乗るその女は早口でまくし立てると、すばやく立ち上がった。本当のところ、バッツはその話し方にウンザリしており、殆ど聞いていなかった。ただ、どうやらバッツをたたき起こし草木をへし折った「何か」の正体は、隕石の類らしい。事実、えぐられている地面はバッツから見て左の方へ続いており、向こう側の岩山の辺りが変色している。実際は岩山が変色しているのではなく、巨大な茶色い隕石がそこに立ちはだかっているのだが、遠目からはそれが岩山の一部なのか異質の物なのかはわかりにくい。えぐれた地面がそれの異常性を物語るのみである。
「本当ならば今すぐにでもあなた様を拙宅へと招き入れましては精一杯のおもてなしをさせて頂きたいのではありますが、まことに遺憾ながら私、並々ならぬ事情にて直ちに出立せねばならないのです」
「はぁ」
バッツが間の抜けた声を出した後、一瞬の間があったかと思うと、どこからかうなるような声が聞こえた。
「バッツ様・・・今のお声は・・・?」
「シッ」
二人が息を潜めると、辺りは完全に静まり返った。動物達はどこかへ避難しているのだろうが、それにしてもさっきから全く風がない。
「う・・・助けてくれ・・・」
バッツとレナは顔を見合わせ、声の方へと走った。それはえぐれた地面の先・・・隕石の方から聞こえる。
果たして、隕石の側でうつぶせに倒れている老人を発見した。風が吹いていれば間違いなく聞こえなかったであろう。
「お気を確かに。今、ポーションを差し上げますわ」
レナは老人を抱き起こすと、腰につけていた小さな袋から透明の小さな球を取り出し、軽く宙へ放った。球は中空で弾けるとキラキラと霧状に変化し、老人を包みこみ、あちこちの傷が見る間に消えていく。
「ん・・・ウーン・・・」
突如、カッと目を見開いたかと思うと老人は元気に飛び上がった。と思ったのも束の間。頭を押さえて片膝をついてしまった。
「おい爺さん、大丈夫かよ」
老人はバッツを見上げると、どうしようもない疑問をもちかけてきた。
「ここはどこじゃ・・?・・・・・・ぬぅ・・・頭を打ったようじゃ・・・・急がねばエク・・・・・・・????ありゃりゃ?あんた誰?そしてわしは誰?あっひゃっひゃ!!」
「かわいそうに・・・頭を打って馬鹿になったのか・・・」
余計なものに関わってしまった・・・そんな思いがバッツの脳裏をよぎる。
「そんな・・・何とおいたわしい・・・」
(おいおい、どう考えたって記憶喪失だろうが。人がボケてんだからフォロー入れろよな・・・)などと思っていると、老人は今一度、カッと目を見開いた。
「・・・ん!そうじゃ、わしの名前はガラフ!ガラフじゃ!素晴らしい!わしカッコ良い!!」
「で?」
「他はわからんのう・・・あっひゃっひゃ!こりゃオカシーわい!!」
「駄目だこりゃ・・・」
腹を抱えてゲラゲラと笑い転げる老人を見下ろし、バッツはため息をついた。実は記憶喪失を装って演技しているだけではないのか?という思いもあったのだが、この際どっちでも良かった。とりあえず、この変な女と老人から解放されるのならば何でも良い。何か起こってくれ。
「あの、私、本当に急がねばならぬ身にありまして、何とかガラフ様をお助けしたいのは山々なのですが、これにて失礼させて頂きたく存じます」
冗談ではない。女が片付くのは良いが、しかしこんな老人と二人っきりにされては困るのだ。何でも良いからとにかく引き止める必要がある。
「急ぐ急ぐって、どこ行くんだ?」
「はい、それに付きましては兎にも角にも風の神殿へと・・・」
言い終わる前に、ガラフが叫んだ。
「なんと!わしもそこに行かねばならなかったような気がしないでもないぞ!たぶん!わしも行く!行くったら行くんじゃっひゃっひゃ!」
その声は恐ろしく張りがあり、とても老人のものとは思えないほどだった。しかしそんなことは如何でも良くて、バッツは別の所で内心ニヤリとした。ガラフがレナに付いて行ってくれれば、自分は心置きなく一人旅が続行できるではないか。
「ですがしかし・・・」
「ええい!なんとしても付いていくぞ!」
フンフンと鼻息を漏らしながら腕を振り回すガラフは、体力があり余ってるらしい。この分なら一人で放っておいても何も問題は無さそうだ。しかし、こんな風に付いて来られても困るので、バッツとしてはなんとしても、ガラフにはレナにくっついていって欲しかった。
「良いじゃねーか。案外、ボディガードになってくれるかも知れねーぞ?」
「・・・・分かりましたわ」
そうあっさりと言うと、レナはちらりとバッツのほうを見やった。ほっとした表情を見破られぬように気をつけつつ、一人旅を続けることを告げると、レナとガラフは森を後にした。
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FINAL FANTASY V Advanced DQN 第1話
書き始めてみたは良いものの、こんなペースじゃ年内に終わる要素が無い(死
書き始めてみたは良いものの、こんなペースじゃ年内に終わる要素が無い(死
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王は飛竜を駆り。
王女は自らを鼓舞し。
海賊は風を失い。
英雄は異界より舞い降りる。
そして青年は・・・惰眠を貪っていた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
「んー。うっセーな・・・もうちょっと良いだろ・・・」
小さな森の中で見つけた広場。その中心あたりで焚き火がパチパチと音を立てている。その側で気持ちよく眠っていたというのに、どうも周囲が騒がしいらしく、ぼんやりと目が覚めてしまった。しかしまだ起きる気は無い。
「あー、うっせーうっせー・・・静かにしろよボコ・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
激しく体を揺さぶられ、仕方が無いのでムクリと起き上がった。眠い目をこすると、黄色い巨大な鳥が羽をバサバサと動かしながら走り回っているのが分かる。
(・・・なにやってんだ・・・・・?っつーかもう起きたんだから揺するなよ・・・・・・)
?
誰が揺さぶっているって?
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!!
地面が、木々が、振動している。
「お、おお、お、お、な、なななな何だ?何だ?おいおいおいおいおい」
鳥は奇声を上げながらパニックに陥り、その姿を見て彼もまた、冷静さを失った。意味の分からぬ振動は徐々に大きくなり、また、それまで気付かなかったのが不思議であるが、大きな音も聞こえる。それは空気を乱暴にシャッフルし、耳の奥で暴れるのだ。あまりの轟音に、感覚が麻痺してしまっていたのかもしれない。
耳をふさぎ、目を白黒させながら周囲を見渡す。どこで何が起きてるのか、全く想像もつかない。まるでこの世の終わりが目前に迫っているかのような、言い知れぬ恐怖に襲われたその時だ。ドウーーン!という一段と強烈な音と揺れ、ワンテンポ遅れてからの身体が浮き上がらんばかりの突風とともに、静寂が訪れた。
巨鳥は相変わらず羽をばたつかせながら走っていたが、振動がおさまったのを察知すると次第に大人しくなり、まるで何事もなかったように・・・というより、狂乱していた自分を取り繕うように、澄ました顔であたりを見回した。
鳥は気付いていた。先ほどまで大騒ぎしていた木々の静まりかたの不自然さに。いや、実はこの地震らしきものが始まる前からこの森は不自然だったし、そしてまた、自分自身の羽毛も普段とは違って、何となく重かった。
青年・・バッツはポカンと開いた口から、フッと一息漏らすとゆっくり立ち上がった。生まれてこのかた、こんな目の覚め方は初めてだ。
「おい、ボコ。行ってみようぜ」
そう言うと、巨鳥の背に飛び乗った。手製の鞍は少々不恰好だったが、バッツはその乗り心地を気に入っていた。
「おっと、火を消してくれよな」
その時、バッツはようやく気付いた。焚き火は先ほどの地震にもめげず、懸命にパチパチやっていたが、その揺れ方から全く風の影響を受けていないことが分かる。ボコが脚で焚き火に土をかけている間、乱立する木々を眺めてみると、そこは厭というほど静止しており、まるで絵のように、微動だ似せず、つまり、完璧に風がやんでいた。
周囲360度、目に入る風景は全て、時が止まったかのように静まり返っていた・・・。
森を抜けると、ボコはそれまで以上に力強く大地を蹴り上げ、スピードを上げていった。「チョコボ」と呼ばれるこの鳥は、巨大に進化して飛ぶことを忘れ、その代わりに強靭な脚力を獲得している。人は「ボコ」という安易な名前に疑問をもつかもしれないが、バッツが名づけようと色々な名前を上げた時に、本人がそれを選んだのだから仕方が無い。
それはさて置き、バッツは先ほどの突風で倒されたらしい雑草の方向から、事件の中心を目指してボコを走らせていった。この広い草原には所々樹木も生えているが、それらも皆一様に先ほどまでバッツ達が居た森を差すように傾いている。
しばらく走っていくと、岩山が見える。それは前面をさえぎるようにそびえているのではなく、いまボコが走っているその直線状で一度途絶えており、関所でも作れば一儲け出来そうな気配がした。谷になっているその場所はそれなりに広いので、むしろ要塞に向いているかもしれない。その先にタイクーンという名の国があることを知っていたバッツは、暢気な国だなどと想像していた。とはいえ、今は戦争しているところなど話に聞かないし、国を開けっぴろげにしている平和な感じも嫌いではない。
城の方で何かあったのか・・?と思っていたが、小高い丘を越えると、そうではない事を思い知らされる。岩山と岩山の間、本来ならそこは小さな森になっているはずだった。しかし今、木々がなぎ倒され、地面がえぐられているのが遠目にも見える。
「何だありゃあ・・・・おいボコ、ちょっと急げ」
ボコは一声上げると、さらにスピードを上げてそれを目指した。
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王は飛竜を駆り。
王女は自らを鼓舞し。
海賊は風を失い。
英雄は異界より舞い降りる。
そして青年は・・・惰眠を貪っていた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
「んー。うっセーな・・・もうちょっと良いだろ・・・」
小さな森の中で見つけた広場。その中心あたりで焚き火がパチパチと音を立てている。その側で気持ちよく眠っていたというのに、どうも周囲が騒がしいらしく、ぼんやりと目が覚めてしまった。しかしまだ起きる気は無い。
「あー、うっせーうっせー・・・静かにしろよボコ・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
激しく体を揺さぶられ、仕方が無いのでムクリと起き上がった。眠い目をこすると、黄色い巨大な鳥が羽をバサバサと動かしながら走り回っているのが分かる。
(・・・なにやってんだ・・・・・?っつーかもう起きたんだから揺するなよ・・・・・・)
?
誰が揺さぶっているって?
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!!
地面が、木々が、振動している。
「お、おお、お、お、な、なななな何だ?何だ?おいおいおいおいおい」
鳥は奇声を上げながらパニックに陥り、その姿を見て彼もまた、冷静さを失った。意味の分からぬ振動は徐々に大きくなり、また、それまで気付かなかったのが不思議であるが、大きな音も聞こえる。それは空気を乱暴にシャッフルし、耳の奥で暴れるのだ。あまりの轟音に、感覚が麻痺してしまっていたのかもしれない。
耳をふさぎ、目を白黒させながら周囲を見渡す。どこで何が起きてるのか、全く想像もつかない。まるでこの世の終わりが目前に迫っているかのような、言い知れぬ恐怖に襲われたその時だ。ドウーーン!という一段と強烈な音と揺れ、ワンテンポ遅れてからの身体が浮き上がらんばかりの突風とともに、静寂が訪れた。
巨鳥は相変わらず羽をばたつかせながら走っていたが、振動がおさまったのを察知すると次第に大人しくなり、まるで何事もなかったように・・・というより、狂乱していた自分を取り繕うように、澄ました顔であたりを見回した。
鳥は気付いていた。先ほどまで大騒ぎしていた木々の静まりかたの不自然さに。いや、実はこの地震らしきものが始まる前からこの森は不自然だったし、そしてまた、自分自身の羽毛も普段とは違って、何となく重かった。
青年・・バッツはポカンと開いた口から、フッと一息漏らすとゆっくり立ち上がった。生まれてこのかた、こんな目の覚め方は初めてだ。
「おい、ボコ。行ってみようぜ」
そう言うと、巨鳥の背に飛び乗った。手製の鞍は少々不恰好だったが、バッツはその乗り心地を気に入っていた。
「おっと、火を消してくれよな」
その時、バッツはようやく気付いた。焚き火は先ほどの地震にもめげず、懸命にパチパチやっていたが、その揺れ方から全く風の影響を受けていないことが分かる。ボコが脚で焚き火に土をかけている間、乱立する木々を眺めてみると、そこは厭というほど静止しており、まるで絵のように、微動だ似せず、つまり、完璧に風がやんでいた。
周囲360度、目に入る風景は全て、時が止まったかのように静まり返っていた・・・。
森を抜けると、ボコはそれまで以上に力強く大地を蹴り上げ、スピードを上げていった。「チョコボ」と呼ばれるこの鳥は、巨大に進化して飛ぶことを忘れ、その代わりに強靭な脚力を獲得している。人は「ボコ」という安易な名前に疑問をもつかもしれないが、バッツが名づけようと色々な名前を上げた時に、本人がそれを選んだのだから仕方が無い。
それはさて置き、バッツは先ほどの突風で倒されたらしい雑草の方向から、事件の中心を目指してボコを走らせていった。この広い草原には所々樹木も生えているが、それらも皆一様に先ほどまでバッツ達が居た森を差すように傾いている。
しばらく走っていくと、岩山が見える。それは前面をさえぎるようにそびえているのではなく、いまボコが走っているその直線状で一度途絶えており、関所でも作れば一儲け出来そうな気配がした。谷になっているその場所はそれなりに広いので、むしろ要塞に向いているかもしれない。その先にタイクーンという名の国があることを知っていたバッツは、暢気な国だなどと想像していた。とはいえ、今は戦争しているところなど話に聞かないし、国を開けっぴろげにしている平和な感じも嫌いではない。
城の方で何かあったのか・・?と思っていたが、小高い丘を越えると、そうではない事を思い知らされる。岩山と岩山の間、本来ならそこは小さな森になっているはずだった。しかし今、木々がなぎ倒され、地面がえぐられているのが遠目にも見える。
「何だありゃあ・・・・おいボコ、ちょっと急げ」
ボコは一声上げると、さらにスピードを上げてそれを目指した。
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